５３ ISM

今日でらくざの引き渡しになります。


スケルトンにするか、設備をとことん全て置いて行けの選択でスケルトンにすると莫大なお金が発生するので、機材は全て置いていきます。

来月から他の店がやるようですよ。

どんな店になるのでしょうかね？
楽しみです。


って、訳はないです。

たった一言。

たった一言を従業員に言われただけで、ケツ拭くのは誰だ？と言われ、結果これなんで笑えてきます。

確かに従業員のケツ拭くのは僕の仕事なんで仕方ないですが。


これからの僕の人生で糧となってずっとずっと残っていくでしょう。

それにしても、全て片付けたらこんなにガラーンとしてるんですね。





ここで、何人の方と出逢い、話し、笑ったんだろう？

何人の方が仲間と笑い、泣き、喧嘩したんだろう？

階段から転んだおばさんもいたな。

天井で頭をぶつけ、流血騒ぎにもなったな。

話しをしていたお客さんの不意の豚っ鼻でみんなで爆笑したな。

何人の従業員を怒鳴りつけたんだろう？

こんな奴らのやってる店に何故こんなにお客さんがきてくれるんだろう？って不思議に思った時もあったな。


「おー、また来たよ。」

「おかえりなさい。おつかれさまです。」

こんなお客さんとの会話がすごく居心地よかったな。

店が出来た時に「やってやるぜ！」と、昌史とした握手は忘れない。


自分を含め、何人もの従業員が胃腸炎やら胃潰瘍でバタバタ倒れたな。

駐車場の事で隣の鍵屋さんに怒鳴られたな。

杏林堂でもひたすら謝った事もあったっけ。


エアコンが壊れ、みんな汗だくで呑んでくれたお盆もあった。


毎日のように営業終わってからみんなで飲み明かし、店で寝てたな。


オープンした日の仲間からのたくさんの花。

「これ美味しいね。」

「らくざしかこないよ。」


「いい店だね。」


「ごちそうさま。ありがとう。」

一言一言がすごい嬉しかったなぁ。
忘れません。


なんで杏林堂はお客さんでいっぱいなのにうちにはこないんだよー。
なんて、愚痴った時もあれば、
ガチャガチャに満席になった時、杏林堂はガラガラだったら、勝ったぞ！とハイタッチしたっけ。

杉さんに延髄蹴り食らわしたのもこの店。


作りの悪さで雨の日は裏口から水が入って来るからバイト１人はひたすらブラシでゴシゴシしてたな。


お湯割のお湯がヌルい！とまじできれられた事もあった。

大将はきらい。と面と向かって言われた事もあった。





くだらない事でも僕にとったら最高の思い出ばかりです。


こんなたった一軒の居酒屋でこんな思い出がたくさんできた僕は幸せ者です。


終わり方が気に入らないですが。


座敷に寝そべってこのブログを書いてます。
書いてるうちにとめどなく涙が溢れてきます。

この店を守れなかったんだ。と悔しくて悔しくてたまりません。

店は生き物です。

お店は僕にとってどう思ってくれてるんだろう？

ありがとう。って言ってくれてるかな？

あの鉄骨のブレスに縄を巻いた日の事が昨日のようです。





呑んだらみんなで寝てた場所。




ここで賄いを食べてみんなで語ったな。






ここでどれだけの料理を作ってお客さんに食べてもらったんだろう？






たくさんの仲間とお客さんと出逢えたこの場所。






本当に本当に店をやって、居酒屋人であってよかったなと思います。


さぁ、１２時で引き渡しです。

僕らの心の中ではらくざイズムは消えません。


本当にありがとう。